進学のために子どもが貯めていた貯金も認められない?―生活保護の申請時
射水市であった事例。
-4人家族の母子家庭。娘さんが大学に進学する準備として、高校に通いながらアルバイトをして貯金を貯めていた。生活保護を申請したのは、その娘さんが高校3年生の時で5月、その時点で娘の貯金は65万円になっていた-
市はこの貯金があることから、このままでは生活保護は認められないと判断しました。申請時に認められる預貯金は「最低生活費の大体5割を限度とする」とされているからです。
受給している時は、アルバイト代からの進学目的の貯金は認められているのに…
生活保護を受給している時は、「自立助長、早期の保護脱却に資する」ということから、進学準備のために、子どもがアルバイトをし貯金をすることは認められています。そのためのアルバイト代は「収入除外」とされ、生活保護費を減額する収入としては扱いません。
しかし生活保護の申請時には同様の貯金が認められない。生活に使い果たすまで認められない。これはおかしいと考えます。
政府に「自立更生に役立つ資金として認めてほしい」と改善方を提出。「大きな宿題としたい」(厚労省)
今年11月に共産党富山県委員会がおこなった政府要望において、この問題をとりあげ、「自立更生に役立つ資金として認めてほしい」とする要望を厚生労働省に提出しました。交渉には私は参加できず、多田前砺波市議が当たって下さいました。
厚生労働省は「生活保護の大原則があるので難しい」としましたが、多田氏の「この話は多くの人が納得すると思う。制度の根幹が直せないのであれば例外措置など仕組みを考えてほしい」との求めに、「大きな宿題としたい」と応えました。
親から子への「貧困の連鎖」を防ぐためにも、早く改善されることを期待します。
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【生活保護世帯の高校生のアルバイト】 アルバイト代全額が収入とされ保護費が減額されるわけではありません。勤労控除の「基礎控除」と「未成年控除」で3万円弱が、また、「私立学校の授業料の不足分」、「修学旅行費」、「部活動費の不足分」、「学習塾の費用」、「大学進学のための資金としての貯金」などに充てた分は「収入除外」とされます。ただし、これらは市の事前承認が必要になりますので必ず市と相談してください。
「津本ふみおレポート」№168 2015年11月29日