県の次年度予算編成のこの時期、党富山県委員会として知事に対する要望交渉を行っています。12月26日、上田俊彦党富山県委員長、ひづめ弘子県議、高瀬あつこ党高岡市県政対策委員長と共に、津本ふみおは予算交渉に参加しました。新型コロナで陽性が判明した新田富山県知事に代わって、 蔵堀祐一副知事が応対されました。
2022年12月26日
富山県知事 新田八朗 殿
2023年度富山県予算編成についての要望書
日本共産党富山県委員会
委員長 上田 俊彦
( はじめに )
県勢発展のため、連日ご奮闘いただいていることに感謝申し上げます。
新田県政がスタートして2年余りとなり、知事が編成する当初予算案も2回目となります。わが党は、来年度の予算案が、県民のいのちと暮らし、地域の中小零細企業や地場産業を守る予算となるよう心から期待しております。
今年度の予算には、わが党も要望した子どもの医療費助成の対象拡大と窓口無料化が盛り込まれました。その結果、市町村の負担があわせて1億5,000万円軽減され、今年度から来年度にかけて18歳までの医療費無料化が県内の12自治体にまで一気に広がったことを喜んでいます。
また、今年10月から国が75歳以上の医療費に2割負担を導入しましたが、県と市町村が協力し高齢障害者の値上げ分を負担したことで、障害者の負担増を回避することができました。その他、35人学級の拡大と県単独での教員数確保、西部水道水供給事業の2年連続での単価値下げと「二分料金制」の導入などを歓迎しています。
今回の県予算編成は言うまでもなく、コロナ禍の長期化と激しい物価高騰で、県民生活がより深刻な状況下で行われます。中小業者には、コロナ関連融資の債務返済も迫られています。ところが、政府の「総合対策」は、あらゆる分野で物価が高騰しているにもかかわらず、ガソリンや輸入小麦、電気・ガス料金の抑制など、部分的・一時的対策に終始しています。最低賃金は引き上げたと言っても県内では31円増に止まり、物価上昇分にもなりません。物価が上がっているのに国が年金を引き下げ、75歳以上の医療費2割負担を導入するなどは、高齢者の将来不安を広げ、消費を冷え込ませるという点で「ウェルビーイング向上」にも、経済対策にも逆行する悪政と言わなくてはなりません。
だからこそ県が、「県民福祉の増進をはかる」という自治体の役割にそって、県民の賃金と個人所得の増大、雇用の安定、子育て支援や高齢者福祉、農林水産業への支援、省エネと再エネの普及によるゼロ・カーボン戦略などを、強力に推進することが切実に求められています。
加えて、わが党は岸田内閣が12月16日に、「反撃能力」保有と大軍拡、軍事費増額など「安保3文書」を閣議決定したことに強く抗議します。国会にもはからずに、これまでの憲法解釈を覆し、日本の平和も国民生活も壊すものであり、政治的立場の違いを超えて撤回を求めていきたいと思います。
以上の立場にたち、来年度の県予算編成に対する要望書を提出いたします。
( 重点要望事項 )
- 県の成長戦略の柱に、県民の家計所得、家計消費の拡大策や、地域循環型経済と県内産業への支援をしっかり据えること。
- 公の施設を県外大手ゼネコンの利潤追求の場として提供し、県内中小企業の事業参入が難しくなるPFIの採用は行わず、県民サービスの充実を図る立場から、県内中小企業が参入しやすい分離分割発注を採用すること。
- コロナ感染のクラスター防止のためにも、医療・介護・福祉施設での頻回検査の実施とあわせて、抗原検査キットの無料提供を行うこと。
- 県厚生センターのさらなる職員増員、体制強化を行うこと。
- 厚生労働省が再編統合の検討を求めた県内の公的病院の経営を守るとともに、病床の削減数をかかげた地域医療構想の推進は行わないこと。
- 子どもの医療費助成制度の対象を、さらに小学校卒業まで引き上げるとともに、一部負担金を廃止し、石川県の医療機関を受診しても窓口無料となるようにすること。
- 子どもの貧困が拡大している。学校給食の無償化を国に求めるとともに、市町村と協力し県としても取り組むこと。
- 子ども食堂の取り組みを広げるために、月一回の開催であっても立ち上げへの支援を行うよう、市町村とともに取り組むこと。
- 加齢性難聴者への補聴器購入に支援すること。
- 認知症SOSネットワークと障害保険加入制度については、全県的に統一した制度となるよう県事業として取り組むこと。
- 全国一律1500円の最低賃金制度の実現をめざし、県内最低賃金のさらなる引き上げを働きかけ、県内の賃金底上げをはかること。
- 飼料、肥料、資材高騰のなかで、厳しい経営に直面する農業生産者に対する損失補填などの緊急支援を国に働きかけるとともに、県としてもさらなる支援を行うこと。
- 「富山県子どもの権利条例(仮称)」制定を検討すること。
- 小学校6年生への35人以下学級の導入にあたっては、学級担任を正規教員で確実に増員配置すること。小規模校でゆとりある学校運営に貴重な役割を果たしてきた少人数指導教員などの継続配置を含め、必要な体制を確保するため、県単独定数も使って教員を増員配置すること。
- スクール・サポート・スタッフ、緊急スクール・サポート・スタッフ、ICT支援員を、新年度も引き続き継続配置すること。学校現場でパソコン管理に当たる教員、スタッフの校務や授業の負担を軽減すること。
- すべての県立学校に養護教諭が引き続き配置されるよう、県単独であっても養護教諭の確保、配置が後退しないよう取り組むこと。
- 県立学校特別教室のエアコン設置を急ぎ、設置計画を早期に完了させること。
- 県職員と教職員の地域手当を、関係職員組合とも十分協議し、県内一律支給に変更すること。
- 県立学校や県立施設のトイレに、自由に使える生理用品を配備すること。
- 部長級に女性登用を増やすなど、女性の県幹部職員の登用を拡大すること。登用にあたってはできるだけ、国からの派遣ではなく、県庁内からの抜擢とすること。
- 大門、福岡、入善駅など、あいの風とやま鉄道駅構内のエレベーター設置を促進すること。
- IPCC報告が提起する「2030年までに2010年水準から45%削減」を踏まえ、県ゼロ・カーボン戦略のCO2削減目標を2010年比で50%以上とすること。
- 県がこれから新築・増築する県立大学新棟、県武道館、児童相談所などの施設は、県の「率先行動」として、積極的にゼロ・カーボン化(ZET化)に取り組むこと。
- インボイス制度の中止を国に求め、県内のフリーランス、個人事業主を含む零細業者を守ること。
- 憲法に違反し、日本を戦争の危険に巻き込む敵基地攻撃能力の保有、そのための軍備増強と大増税に反対すること。