市民が納めた水道料が余っていることを示す黒字。
水道事業は毎年大幅な黒字となっています。これは市民が納めた水道料が毎年余っていることを示しています。水道料は富山市の1.5倍。値下げを進めるべきです。
大幅黒字をだし続けている射水市の水道事業 (決算より) |
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年度 |
2008 |
2009 |
2010 |
2011 |
2012 |
2013 |
黒字額 |
1.2億円 |
1.4億円 |
1.6億円 |
1.9億円 |
1.6億円 |
1.6億円 |
これまでの黒字はどこへ? 自己資本金に変化。
水道事業で生じた黒字は、これまでほぼ全額、自己資本金に変えられています。
昨年度の黒字(当年度純利益)1億6千万円についても、市当局は「減債積立金」、「建設改良積立金」に積み立てようとしています。こうして黒字は「利益剰余金」ではなくなり「自己資本金」に組みこまれていきます。
■ 自己資本金になると… 赤字になっても補てん財源として使えません。値上げを抑える役割が消えます。
黒字が「自己資本金」に変わるとどうなる?(その1)
水道事業が赤字状態に転落しても、それを補てんする財源としては使えなくなります。
もし将来の赤字の補てん財源とするなら、自己資本金に組みこむのではなく、「繰越利益剰余金」として残していく必要があります。市当局は値下げを拒む理由に「施設更新などで将来赤字になり値上げが必要になる」としています。しかしそれならば、それに備えて各年度の黒字を累積して残していくべきです。しかしそれも拒んでおり、わずかにある「繰越利益剰余金」もゼロにしようとしています。
■ 黒字分で施設を整備しても、やはり水道料で整備費を回収…???
黒字が「自己資本金」に変わるとどうなる?(その2)
例えば、1億6千万円かかる老朽管更新を昨年度の黒字1億6千万円を充てておこなったとしても、公営企業会計では、翌年から「原価償却」を費用として計上します。そして耐用年数の期間で工事費1億6千万円を水道料を通してまるまる回収していきます。
水道料の余ったお金で工事をおこない、支払いが済んでいるはずの工事費を、水道料でまた回収する… 市民にとっては水道料の二重取りです。また、黒字を充てても充てなくても、公営企業会計は同じように工事費を水道料で回収することから、「将来の工事費負担の軽減につながる」ということはありません。
■ では自己資本金化を進めるのは何故?
その分借金を減らし、利息負担を減らすことがでるからです。しかし2%という超低金利時代においては、水道料抑制効果はわずかにとどまります。ちなみに、昨年度の黒字1億6千万円を自己資本金化して、それだけの効果を出すには50年かかります。
「津本ふみおレポート」№155 2014年10月26日